外壁塗装業者をネットで選ぶ際の注意点
外壁塗装工事を行おうというとき、多くの人はインターネットで検索をして業者を探すでしょう。しかしネットでの業者の検索には落とし穴が多くあり、検索結果を信じて誘導されるままになっていると、高い工事費や手抜き工事につながることがあります。この記事ではその回避の方法と、良い外壁塗装工事業者を見分ける方法について説明します。
「一括見積サイト」や「見積もり比較サイト」の落とし穴
プロによる一括見積りは実在するか？
ネットで「外壁塗装」を検索すると、外壁塗装業者への一括見積サイトや見積もり比較サイトというものが多く出てきます。これらはお客様の代わりに、塗装業者にまとめて問い合わせや見積もり請求を行い相見積もりを取ってくれるという大変便利なサイトであるように見えます。
確かに塗装の問い合わせや見積もりなど何を聞いたらいいかわからないし、安くはない工事費ですから少しでも安くしたい、少なくとも騙されたくはないというのは当然だと思います。そんなときに、「外壁塗装のプロ」が「相見積もりの取得を代行」してくれるというのは、とても魅力的でお得に見えます。
しかし、これは本当にお得なのでしょうか？
厳密な審査を本当に行っているのか？
見積もり比較サイトや一括見積サイトは「第三者による厳格な審査を通った優良な業者のみが登録されており、その登録企業から見積もりを取る」というように言っています。
これは疑わしいと言わざるを得ません。
何を持って厳密な審査なのかという定義もあやふやですし、施工業者に本当に厳密な審査をして落としてしまうことによるメリットが、比較サイトの運営者側にはありません。
塗装のプロが運営しているのか？
見積もり比較サイトや一括見積もりサイトの運営者に注目してみると、多くの場合、塗装とは無関係のWeb上の集客代行業者であり、彼ら自身が実際に塗装工事を行っているわけではありません。
なぜそれが問題なのかというと、塗装工事は一点物だからです。例えばこれが新品のスマートフォンのような工業製品である場合は、型番が同じならばどこで買っても同じものであるはずですので、どこで買うのが安いのかを比較することにはメリットがあるでしょう。しかし塗装は建物一件ごとに状況が違い、工事内容も違います。建物の大きさや形状、立地、環境、リフォームの予定などとの兼ね合いなどにより様々な制約と選択肢がありますので、最初の段階でプロがちゃんとした調査をしなければ、そもそも見積もりなど立てられないものです。もちろんそれでは不便だから分かりやすさのためにある程度は一律価格のようなものもあってもよいのかも知れませんが、それこそさらに高度な知識と経験が必要とされます。
そのような最高度の知識と経験を持つ者が見積もり比較サイトや一括見積サイトを運営しているのかというと、極めて怪しいと言わざるを得ません。
集客代行業者に払うコストが施工トラブルの原因?
塗装業者がこういった見積もり比較サイトや一括見積サイトに登録する場合、多額の手数料がかかります。サイト運営者への初期登録費用が必要な場合、数万円から数十万円。一現場の紹介手数料が数万円、成約手数料が工事受注金額の5〜15%というのが一般的です。
これらのサイトは塗装業者の集客を代行しているわけですので多少の手数料がかかるのは当然ではあるのでしょうけれども、均すと7%〜15%にもなるこの販売促進費用は結局お客様への請求額に上乗せされます。しかし相見積もりという仕組み上それもしにくく、業者間で安売り競争をすることになります。
その結果は手抜き工事です。この手数料ではほとんどの仕事で利益が出ず、赤字の現場も出てきます。塗装工事のコストは人件費が大きく、売上のために多くの現場をこなさなければならず、塗装直後は一見不良施工が発覚しにくいという特徴を持ちます。そのため塗装工程の省略などで無理やり塗装工事を手早く終わらせてしまいたいという負のインセンティブが働きやすいのです。
外壁塗装業者のランキングは信用できる？
外壁塗装業者を探すには評判が大切だというので、「評判 外壁塗装」などで検索することはないでしょうか。こういった検索をすると、ランキングサイトに行き着くことが多くあります。そしてそのランキングサイトから、上述の見積もり比較サイトや一括見積サイトにリンクが貼られて誘導されています。
これは、SEO代行業者が外壁塗装業者のランキングサイトなどを作って、コラムを書き、検索したときに上位に表示されるようにしているのです。
しかし、よく考えてみてください。一体誰がそんなニッチな統計を本当に科学的に調査して作成するでしょうか。それは誰かが別の目的で作ったものと考えるほうが自然ではないでしょうか。それは、そのランキングサイトによって誘導されるのがどこかを考えれば明らかだと思います。
本当に信頼できる外壁塗装業者をネットで見つける方法
一括見積サイトもランキングサイトも信用できないとなると、一体どうやってネットで外壁塗装業者を見つければよいのでしょうか？
解決策はシンプルで、気になる外壁塗装業者がいたら、その会社のホームページをじっくり読むことです。その業者が信頼できるかどうかは、読めば分かります。そして納得したら、その会社に直接連絡を取るのが良いです。
では、ホームページのどこを読めばよいかを紹介します。
施工実績をホームページに載せていること
施工事例を数多く載せている業者は、経験と実績があります。このことは塗装業者の選択においてとても重要です。なぜなら塗装工事は一点物だからです。塗装工事は現場ごとに少しずつ違い、その施工の経験を経て得た知識や技量は、見積もりにおいても施工においても非常に重要になります。
塗装工事は春と秋にピークがあり、その繁忙期を狙って他業種からのアルバイト業者が出てきます。そういった業者は実績を積み重ねることができません。塗装専門業者だけが豊富な実績を積み重ねることができます。
塗装工事は施工直後に手抜きや施工不良が発覚しにくく、やり逃げ業者や、法外な再工事費を請求したりする悪徳業者の残念ながら多い業界です。こういったお客様との長期的な関係など全く考えていない悪徳業者は、自分のお客様の施工を事例として自社のホームページに載せることなどできません。施工事例をホームページで公開するのは掲載許諾が必要だからです。悪徳業者はそれ以前に事例をホームページに載せるという発想にすらならないでしょう。
塗装工事に対する愛情と誇りが感じられること
ホームページを読んだときに、その中で塗装業界について、塗料や施工について、自分たちの技量について、熱く語っているかどうかも大切な判断ポイントです。
文章の上手さは重要ではありません。巧さだけならSEO代行業者のライターの書いた記事のほうが読みやすいでしょう。しかし大切なのは、その業者の塗装工事や塗装業界に対する愛情であり、その熱量の大きさです。それは読めば感じられると思います。
なぜこれが大切かというと、塗装工事は手抜きをしやすく、悪徳業者や施工後のクレームの多い分野だからです。悪いことをしようと思えばいくらでもする余地があります。悪いことをせずに実直にこの仕事をしていくには、この仕事に対する愛情や誇りが大切だからです。その愛情や誇りが文間にあふれているように感じられる業者が良い業者であるといえます。